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睡眠時無呼吸の治療によりうつ病が軽快する可能性

うつ病の症状は閉鎖性睡眠時無呼吸と重複することが多く、これにはCPAPが有効

提供:WebMD

Miranda Hitti
WebMD Medical News

Reviewed by Brunilda Nazario, MD

【9月12日】閉塞性睡眠時無呼吸を有する人はうつ病の徴候を示すことが多く、いびきと呼吸停止を予防する治療が有効となりうる、と新しい研究で示されている。

米国立睡眠財団(NSF)によれば、閉塞性睡眠時無呼吸は、睡眠中に呼吸が短時間かつ繰り返し中断する障害である。その原因は、咽喉の筋肉が気道を開いた状態を維持できないことにある。

CPAP(持続性気道陽圧)と呼ばれる治療は、閉塞性睡眠無呼吸がある人の睡眠中の呼吸を楽にする用具である。


フロリダ睡眠センターでは、患者50例に対して、4-6週間にわたりCPAPを用いるように依頼した。その結果、この期間中、患者らのうつ病症状は改善された、と『Chest』9月号掲載の研究に記されている。

研究者らは以下のことを推奨している。
・うつ病の症状のある人に閉塞性睡眠時無呼吸のスクリーニングを行う。
・閉塞性睡眠時無呼吸のある人にうつ病のスクリーニングを行う。

CPAP治療は一部の閉塞性睡眠時無呼吸患者におけるうつ病の症状に有効となる可能性がある、とDaniel Schwartz, MDらは記している。Schwartz博士らはユニバーシティ・コミュニティ病院睡眠センター(フロリダ州、タンパ)で研究を行っている。

共通の症状

閉塞性睡眠時無呼吸とうつ病の症状は重複していることが多い、と同研究者らは記している。

同研究者らは両疾患に伴って見られることの多い症状を挙げている。
・疲労、眠気、消耗、意欲の低下を感じる。
・内向的になったり、いらいらしたりする。
・物事に集中することや事実を思い出すことが困難である。
・日常生活に喜びがなくなる。

こうした症状が起きる理由は、同研究者らにもわかっていない。なかには誤診断された症例がある可能性もあれば、そうした症状がしばしば一緒に起こる可能性もある、とSchwartz博士らは記している。

CPAP試験

Schwartz博士の研究は患者50例を対象に行われた。そのうち19例は研究開始時に2カ月間以上にわたる抗うつ薬投与を受けていた。

この研究では、まず、患者らにうつ病の調査を行った。次に、4-6週間にわたりCPAPを用いるように患者らに依頼した。試験終了時点で、再度、患者らに調査を行った。
うつ病スコアは有意に低下した、と同研究者らは記している。

「閉塞性睡眠時無呼吸を有する一部の人にとっては、うつ病の症状はおそらく愁訴の表れであるということが、これらのデータから裏付けられるに違いない」と同研究者らは記している。

スクリーニングと治療

閉塞性睡眠時無呼吸が疑われる患者はうつ病のスクリーニングを受けるべきであり、うつ病が疑われる患者は睡眠時無呼吸のスクリーニングを受けるべきである、と同研究者らは推奨している。

「閉塞性睡眠時無呼吸のある人はうつ病の症状を発現する可能性があり、こうした人たちの少なくとも一部は、CPAP治療によってうつ病の症状が軽快する可能性がある」と同研究者らは記している。

Schwartz, D. Chest, September 2005; vol 128: pp 1304-1309. News release, American College of Chest Physicians.

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眠くなる前に寝るのがコツ 高校生で昼寝の効果を実証

眠くなる前に寝るのがコツ 高校生で昼寝の効果を実証

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2005年8月30日】


 昼寝をするなら眠くなってからより、眠くなる前の方が効果的-。久留米大(福岡県久留米市)の内村直尚(うちむら・なおひさ)助教授(精神神経科)らが29日、高校生を対象にした実験結果を発表した。内村助教授は「眠気のピークが訪れる午後1時半以前に昼寝をすれば再び脳が活性化するが、眠くなった後の午後では遅い」と分析している。

 同市の県立明善高で6月1日-7月10日の40日間、全学年の男女約1000人を対象に実験。週1回以上、昼休みに15分間昼寝した生徒208人、同様に5時間目終了後に「午後寝」した149人、全くしなかった595人を比較した。

 「授業に集中できているか」には、昼寝組の61%が「はい」と答えたが、午後寝組の生徒は44%と、昼寝ゼロの46%より低かった。

 「午後、頭がスッキリしている」への肯定的回答は昼寝組46%に対し、午後寝組は38%。「勉強にやる気があるか」は昼寝組が61%だったが午後寝組は49%にとどまった。午後寝と昼寝ゼロはほとんど差がなかった。

 内村助教授は「適切に昼寝をした生徒は成績に対する好影響もみられており、2学期は3カ月以上かけて成果を調べたい」と話している。

小児によくある持続するいびきは評価が必要

小児のいびきには反復性耳感染のリスク上昇が伴い、扁桃腺摘除が必要

提供:Medscape

Paula Moyer, MA
Medscape Medical News

Reviewed by Gary D. Vogin, MD

【コペンハーゲン 9月26日】10%もの小児が習慣的にいびきをかいている可能性があり、成人の場合と同様に、呼吸の閉塞は他の健康問題につながる。

これらの知見はヨーロッパ呼吸器学会(ERS)第15回年次会議(コペンハーゲン)でClaudia E. Kuehni, MDが発表したものであり、いびきをかく小児は反復性耳感染を有し、扁桃腺摘除が必要な可能性が高いことを示している。こうした関連性から、「(いびきをかく小児は)幼児期に慢性疾患により早期損傷を受けているか、あるいは上気道の感染に罹りやすい可能性が考えられる」とKuehni博士は発表で述べている。Kuehni博士はベルン大学(スイス)社会・リハビリテーション医学科の部長である。


小児における習慣的いびきは、特徴である睡眠時無呼吸症状、間欠的低酸素がなくても、ヘモグロビン増加、行動の問題、学業成績の低さにつながることが既報で示されていることから、Kuehni博士とレスター大学(英国)の共同研究者らは、低年齢小児におけるいびきの有病率といびきが健康に及ぼす長期的影響の研究に関心を持った。


そこで、Kuehni博士らはレスターシャー州(英国)の小児8,700名の地域集団を対象に、1998年、2001年、2003年にアンケート調査を実施した。これらの小児について、7,390名の親(85%)が少なくとも1回調査に回答し、3,331名(38%)は3回の調査すべてに回答した。

1998年に、回答者の8%は子どもが夜間にいびきをかくと答えた。当時、小児らの年齢は1-4歳であった。2001年および2003年には、いびきをかく小児の割合は11%であった。小児の年齢は、2001年には4-7歳、2003年には6-9歳であった。


この研究では、いびきをかく小児にはそれが持続する傾向があることも認められた。1998年にいびきかくと報告した親のうち、46%は2001年にも子どもがいびきをかくと報告しており、35%は2001年と2003年の両調査でいびきが持続していると報告した。

6-9歳のときにいびきをかいた小児は、いびきをかかない小児と比べると、1-4歳のときにいびきをかいていた割合が6倍であり、4-7歳のときにいびきをかいていた割合が30倍であった。4-7歳の小児では、いびきをかく小児は、いびきをかかない小児と比べて、睡眠障害を有する割合が2.6倍(P<0.01)、反復性耳感染を有する割合が1.4倍であった(P=0.04)。

また、1-4歳でいびきをかいていた小児は6-9歳で反復性耳感染のリスクが17%、扁桃腺摘除を必要とするリスクが16%であった。いびきをかかない子どもについては、耳感染のリスクが7%、扁桃腺摘除のリスクが3%であった。しかし、これらの差は統計的に有意ではなかった、とKuehni博士は述べている。


そうはいっても、子どもがいびきをかくという親の報告を真剣に受け止め、そうした子どもに対しては反復性耳感染などの関連する問題について評価するとともに、睡眠の質の低下との関連が考えられる行動や学業の問題がないかどうか親に尋ねるように、とKuehni博士は医師らに勧めている。

この研究はSwiss National Science Foundationの資金援助を受けた。

ERS 15th Annual Congress: Abstract 1605. Presented Sept. 19, 2005.

Medscape Medical News 2005. (C) 2005 Medscape

寝不足でも仕事スイスイ 米の薬剤、サルで効果

寝不足でも仕事スイスイ 米の薬剤、サルで効果

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2005年8月26日】


 【ワシントン25日共同】睡眠不足のために落ちた仕事の処理能力を薬で回復させる実験にサルで成功したと、米ウェークフォレスト大(ノースカロライナ州)などのチームが25日までに米科学誌に発表した。

 人で効果が確認できれば、パイロットや医療従事者ら、睡眠不足でも高い処理能力が求められる人の助けになりそうだという。研究は兵士の睡眠不足に関心が強い米国防総省の助成を受けた。

 カリフォルニア州のコーテックス製薬が開発中の「アンパカインCX717」という薬剤。記憶などにかかわる神経伝達物質グルタミン酸の働きを脳内で長持ちさせる働きがあるとされる。

 チームはアカゲザルに、最初に1枚の絵を見せ、後で複数の絵の中から同じものを選ばせるテストをした。徹夜させて寝不足の状態に置くと間違いが増え、時間もかかったが、薬を注射すると成績は平常時並みに。テスト中に脳の活動を調べると、寝不足時は脳の特定の場所の活動が低下したが、薬を与えると平常時のパターンに戻った。

 薬の作用についてチームは「CX717は脳全体を興奮させるのではなく、睡眠不足の影響を受けた特定部分の働きを回復させる」と説明、過度の興奮など、覚せい剤のような副作用は心配ないだろうとしている。

【編注】米科学誌はプロス・バイオロジー

不健康な睡眠習慣は小児の学校生活を害する

不十分な夜間睡眠は小児の学業成績に悪影響を及ぼす

提供:WebMD

Jennifer Warner
WebMD Medical News

Reviewed by Louise Chang, MD

【9月23日】学校の成績が不良である場合、その背景となる重大な問題は教室ではなく、寝室に認められる可能性があるという。

不健康な睡眠習慣や睡眠の乱れは、小児の思考能力および学業成績に悪影響を及ぼしうるため、学生の成績が問題となった場合には、睡眠について考慮すべきである、と新規の研究結果は示唆している。

一方では、睡眠の乱れに関する一般的原因(睡眠呼吸障害など)の多くは解決可能である、と研究者らは述べている。また、研究では、治療によって問題が矯正できること、また、小児の学校での行動および成績改善に治療が役立つ可能性があることが示されている。

小児の睡眠について学校で考慮する必要

研究者らによると、大半の小児は、最も高いレベルで能力を発揮するために一晩約9時間の睡眠をとる必要がある。しかし、多くの小児は推奨される睡眠時間をとっておらず、その原因として、家族の生活時間帯、勉強、学校の始業時間が早いこと、小児期睡眠障害がある。

この研究で研究者らは、小児の睡眠と学業成績に関する研究21件をレビュー研究した。中学生から大学生において、睡眠の質が不良であること、不規則な睡眠習慣、遅い就寝時刻、早い起床時刻が学業成績低下と関連していることが明らかとなった。

この研究結果は、学校成績不良への寄与因子として不健康な睡眠習慣を考慮すべきであることを示唆している、と研究者らは述べている。本結果は『Journal of School Health』9月号に掲載される。

良好な睡眠習慣は学業成績を改善

「成績不良の小児およびその家族には、睡眠の規則性および睡眠時間、就寝時刻における小児の就寝拒否、入眠の遅れ、夜間覚醒、睡眠呼吸障害、日中の強い眠気について尋ねるべきである」とカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者Howard Taras, MDらは記している。

「夜間の呼吸障害が原因である場合、多くの例では、治療によって睡眠習慣が改善するだけでなく、学業成績も改善する可能性がある」とニュースリリースでTaras博士らは述べている。

例えば、複数の研究で睡眠呼吸障害による睡眠の乱れを伴う小児が外科手術を受けた後、学校成績および行動が改善したことが示されている。

Taras, H. Journal of School Health, September 2005; vol 75: pp 248-254.News release, Blackwell Publishing.